2013-07-03

夏のスカートたち

夏服への衣替えが毎年楽しみです。
なぜか一年経つと忘れてしまう洋服があって、いつも「そうそう、これもあった!」と出しながら一人はしゃぐのです。

夏は特に、祖母が作ってくれたスカートたちがたくさん出てきます。
大学生から社会人二年目頃にかけて何枚も作ってもらいました。実家から30分のところにあったユザワヤ蒲田店で生地を選び、洋裁本からパターンを選び、祖母に頼んでいました。そのほとんどは裏地やチャックが付いたもの。そして最初は仮縫い、一度試着してから細部の調整をし、本縫い。私のパーソナルテーラーでした。

結婚前に洋裁学校に通っていた祖母は師範の資格を持っています。直後にお嫁にいっていなかったらお教室を開いていただろう、と。

小学生の夏休みは当時祖父母が住んでいた名古屋に毎年二週間ほど帰省していました。その時はいつも「パンツだけ持っていらっしゃい」と言われ、服やパジャマは全部新しく縫ったものが用意されていました。

でも中学生くらいになると着たい服はジーンズやパーカー、Tシャツなど。当時はニットソーイング用の本や材料はなかったのでクローゼットの中から祖母の手作り服はなくなっていきました。

制服で過ごしていた日々から一変、大学生になると毎日私服なわけで、「着る服がない!」という事態に。そんなにたくさん親にねだるわけにもいかず、部活ばかりでバイト代もない。そこで祖母に頼みに行ったのが始まりでした。私は安く自分に合った服が手に入り、祖母はまた孫のために作れる、win/winの関係だったと思います。

社会人になってからは服を買うお金はありましたが、祖父母に会うのが嬉しくって作り続けてもらいました。不安の多い新社会人、着こなせないブランドものより、自分だけのために作られた服を着た方が自信を持って仕事に臨めていたような気がします。

最近になって自分でも洋裁をやるようになり、祖母の手作り服を見る目も変わりました。丁寧な手まつりや乱れのないステッチ。久しぶりに当時の洋裁本を出してみると祖母の手書きのメモが残されていました。

祖母は御年80歳。まだ元気に手先を動かしています。